LIMBECK interview
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インディー・キッズは僕らのことを ちょっとカントリー過ぎると思っているみたいだね(笑) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 05年発表の『LET ME COME HOME』では、ゲイリー・ルーリス(元ジェイホークス)の力を借り、そのソングライティングに磨きをかけることで、パンク/エモ・キッズに止まらないファンを掴みとったリンベックの次の一手。 結成10年目の挑戦ともなるそれは一言で言えば、リンベック流ポップ・サウンドの追求だった。 ヒントはインタビューでも語っているビーチ・ボーイズ、そしてビートルズ、ラヴィン・スプーンフルなどなど。 基本編成以外の楽器も使い、スタジオにおいて自分達の表現を、どこまで広げられるかという挑戦だった今回のレコーディング。それはバンド自身にとっても、プロデューサーを務めたエド・ローズ(ゲット・アップ・キッズ他)にとってもずいぶんやり甲斐のあるものだったにちがいない(エド・ローズがプロデュースした03年の『HI, EVERYTHING'S GREAT』はラウドなギター・ロック・サウンドにカントリーからの影響を、いかに定着させるかが一つのテーマだった)。 4作目にして初めて『リンベック』とセルフタイトルになったところにメンバー達の自信が窺える。 しかし、それは60年代風だからいいのでは決してない。 ロックがまだ無邪気でいられた時代のバンドにインスピレーションを求めながらも、そんな時代への憧れと、そんな時代が永遠に続かないということを、すでに知ってしまっているせつなさを、彼ら自身の表現としてしっかり奏でているからこそ、それは素晴らしいのだ。 ぜひ、多くの人に聴いてほしいと思う。 アルバムでも見事なペダル・スティールを披露しているホット・ロッド・サーキットのスペイシー・ケイシー・プレストウッドをゲストに迎え、アメリカをツアー中の彼らにインタビューすることができた。 ●リンベック結成のいきさつを教えてください。 ロブ・マクリーン(VO,G)「僕らは10年前に活動を始めたんだ。最初の2、3年はオレンジ・カウンティー周辺でライヴをやっていたんだけど、その後、全米各地を回るようになったんだよ。ドラマーのジョン(・フィリップ。元ベンジャミンズ〜オブサリーツ)は2年ぐらい前に見つけたのさ」 ●元々はパンク・バンドだったそうですね。 ロブ「僕らはみんなパンクを聴いて育ったんだ。90年代のパンク・シーンが規模があまり大きくなくて、ライヴもフレンドリーな雰囲気だったから、そこに加わってみたかったんだ。パトリックや僕を含め、たくさんの人がファンジンを作っていたよ。ファンジンって言っても、好きなバンドにインタビューしたり、ディスク・レビューを書いたり、書きたいことを好きなように書いてコピーしただけのものだったけどね。それをたくさんコピーして、レコード屋に置いてもらっていたんだ。いろいろな人と出会えるし、いいプロモーションになったよ。でも、今はファンジンを作ろうと思っている人は少ないよ。みんな、MySpaceでブログを書くのに夢中だからね(笑)」 ●現在はカントリーや60年代のポップスの影響を、リンベックなりに消化した音楽性を確立していますね。 ロブ「バンドを始めた頃は、みんな音楽性が狭くてパンクしか聴いてなかったけど、今はその時には考えもしなかった音楽をたくさん聴いているよ」 ●特に影響を受けたバンドやアーティストを教えてください。 ロブ「新作はビーチ・ボーイズの『カール・アンド・ザ・パッションズ〜ソー・タフ』 (※72年発表の問題作)からの影響が大きいんだ。その他にもE.L.O.、T-レックス、ウ ィルコ、ナーダ・サーフとか挙げていったらキリがないけど、最近はドクター・ドッグ ってバンドにハマッているよ。新作がすごいんだ!!」 ●逆に嫌いな音楽は? ロブ「シャウト系の音楽は、あんまりね」 ●前作の『LET ME COME HOME』はジェイホークスのゲイリー・ルーリスと、エド・アッカーソンのプロデュースによるミネアポリス・レコーディングでしたね。 パトリック・キャリー(G,VO)「僕らはジェイホークスとゴールデン・スモッグの大ファンなんだけど、ラッキーなことに僕らが送ったデモ・テープを気に入ってもらえたみたいで、一緒にやりたいって言ってもらえたんだよ。ゲイリーはシンガー・ソングライターでもありながら、アレンジの才能もあるすごい人さ。ミネアポリスには1ヶ月ほど滞在したんだけど、大きな街でさ、エキサイティングな毎日だったよ。レコーディング中はメンバー全員、ミネソタは第2の故郷だって言っていたよ。いろいろな人に出会えたし、おいしいごはんも食べられたし、最高の経験だったね」 ●『LET ME COME HOME』発表後、前のドラマーのマット・スティーヴンスが抜け、現在のジョン・フィリップが加入しましたね。 パトリック「ジョンとは彼がやっていたオブサリーツってバンドと対バンしたとき知り合い、すぐに意気投合したんだ。それ以来、ミルウォーキーでライヴをやるときは、いつも彼の家に泊まって、必ず深夜まで、いい音楽とワインを楽しんでいたんだよ。マットがバンドを辞めるって聞いたときは、すぐにジョンに電話して、『どのくらいでニューヨークまで来られる!? 2日後にアトランタから始まるツアーの練習をしなきゃ!』って言ったんだ。彼はなんとかニューヨークまでやって来て、1日だけ練習して、アトランタでツアー初日を迎えたんだけど、まるで魔法か何かみたいだったよ」 ●現在はパンク/エモ系のバンドともオルタナ・カントリー系のバンドとも対バンしているけど、自分達ではどんなシーンに所属していると考えていますか? パトリック「僕らはどこにもピタッとハマらない変わったバンドなんだ。でも、そこがいいんだ。インディー・キッズは僕らのことをちょっとカントリー過ぎると思っているみたいだけどね(笑)。でも、そういう違いって新鮮だろ? それに万人に僕らを好きになってほしいと思っているわけじゃない。ただ、ちょっとでも人の心をオープンにできたらいいなと思っているだけなんだ。それに僕らはライヴすることが楽しくてしかたがないのさ。だから、誰と共演するかはオマケみたいなものなんだよ」 ●対バンして一番、相性がいいのは、どういうバンドですか? パトリック「正直、どのバンドも好きなんだよね。いろいろなバンドと対バンすれうと、いろいろなことが学べるんだ。パンク・バンドとライヴするときは、客の年齢はグッと下がるし、賑やかにもなる。それが適度だと楽しんだよね。それに僕らの物販でTシャツだか何かしらを買っていってくれることも多い(笑)。オルタナ・カントリー系のバンドとライヴをやるときは、ライバルからリスペクトされるのが気分いいんだ」 ●今回、セルフタイトルにした理由は、やはり新作が一番、自分達らしい作品だから? ロブ「そうだと思うよ。最初は『THE BEAR』にしようと思っていたんだけどね」 ●なぜ、熊なんですか!? ロブ「なぜって、好きだからさ(笑)。だから、アートワークには残したんだ。でも、怒っている熊には絶対に近づきたくないけどね。震えあがっちゃうよ(笑)」 ●新作にはホット・ロッド・サーキット、ドラッグ・ザ・リヴァーのスペイシー・ケイシー・プレストウッドがゲスト参加していますね。SXSWでも一緒にプレイしていたけど、彼とはどんなふうに知り合ったんですか? パトリック「僕らには共通の友達がたくさんいて、もう何年もの間、『ケイシーに会ったほうがいい』って勧められていたんだけど、どういうわけか、ずっと会う機会がなくて、今回、アルバムをレコーディングすることになったとき、ケイシーに参加してもらえたらおもしろいんじゃないと思ったんだ。実際、会ってみたら、すぐに気が合って、ツアーにも参加してもらったら楽しいんじゃないかってことになったんだ。彼はペダル・スティールを持ったマジシャンだよ」 (インタビュー◎山口智男) 07年のSXSW。新作からの曲も披露した |
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