SAHARA HOTNIGHTS interview

FACE TO FACE, CHEEK TO CHEEK
AND HEAR THE POUNDING BEAT


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いい時も悪い時もあったけど、ずっと楽しい10年間だった。
3人の親友達と過ごした最高の10年よ
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輸入盤だけでは、多くの人に聴いてもらえない――というわけで、スウェーデンが誇るロックンロール・バンド、サハラ・ホットナイツが07年に発表した4thアルバム『ラヴィング・シング(What if Leaving is a Loving Thing)』が、ついに日本でもリリースされることに!

彼女達は93年結成の4人組。

ジェニー(G)とジョファンナ(B)のアスプラウド姉妹を中心にバンドはスタート。その後、97年にシングル・デビュー。その時、メンバーの平均年齢は、なんと16.5歳。

そして、精力的にツアーを続ける一方、『C'mon Let's Pretend』(99年)を皮切りに、これまで『ジェニー・ボム』(01年)、『キス&テル』(04年)とコンスタントにアルバムをリリース。『キス&テル』ではアメリカ・デビューも果たした。

かつて彼女達のことを、ガッツがあるとか、肝っ玉のデカさが魅力などと言ってきたが『キス&テル』からポップかつダンサブルな要素が加えられ、硬派と言うか、直球一本槍のロックンロール路線も若干変化が見られはじめた。

今回、日本盤がリリースされる『ラヴィング・シング』は、その『キス&テル』の延長上でポップかつダンサブルなソングライティングをさらに磨き上げた意欲作。サハラ流の60年代と80年代の出会いを思わせるサウンドは、これまでロックンロール・バンドと語られることが多かった彼女達に、きっと別の視点を与えることだろう。

現在、彼女達はメジャー・レーベルを離れ、自らのレーベル、スタンド・バイ・ユア・バンドを拠点に活動している。

ヴォーカル&ギターのマリア・アンダーソンに話を聞いてみた。



●07年にリリースした4thアルバム『ラヴィング・シング』が遂に日本でもリリースされました。

「リリースは07年だけど、まだ、そんなに古くなったっていう印象はないから、ようやくそっちでリリースできてうれしいわ。あの曲はライヴでやっていてもまだ楽しめているしね。もう、北欧やヨーロッパでは一通りツアーを回ったんだけど、『ラヴィング・シング』の曲を、もう何ヶ月かプレイしてもいいと思っているわ」

●サハラ・ホットナイツは、これまで3度の来日経験がありますが、その時の日本の印象は? 

「最後に日本に行ったのは、確か3年前くらいだったと思うんだけど、その時はコンヴェンションだったのよね。東京じゃなくて、長崎だったと思うんだけど、そこでスウェーデンを代表して演奏したのよ(笑)。その後、東京にも行って、原宿のアストロホールでプレイしたんだわ。私達、初めて行った時から東京には夢中だったから、行くたびに楽しんでいるわ。カラオケも大好きよ。もちろん、ライヴで演奏するのもね(笑)」
(筆者注:マリアが言っているコンヴェンションとは、07年11月6日に渋谷のDuoで開催されたスウェーデンサウンズ・イン・ジャパン07のこと。また、彼女達がアストロホールでライヴをやったのは、03年と05年の来日公演でのこと。)

●『ラヴィング・シング』の「ザ・ロンリエスト・シティ・オブ・オール」では東京を、世界で一番孤独な街と歌っていますね? 

「なんとなくね、そんな印象を受けたのよ。東京ってあまりに大きくて、すごく混雑しているでしょ。なんだか、取り残されたような気持ちになっちゃうのよ」

●99年のデビュー・アルバムからずっと3、4年間隔でアルバムをリリースしていますが、3、4年おきというのがサハラ・ホットナイツにとってやりやすいペースなんでしょうか?

「そうね、大体私達のアルバムのリリース・サイクルは3年ごとって感じね。まず曲を作るのにかかる時間が1年間ほどあって、それからレコーディングに数ヶ月、そしてそのツアーがあって、大体3年目くらいに次のアルバムの曲をレコーディングしはじめるって感じだからかしらね。本当はもっと、ツアー中に曲が書ければいいんだろうけど、どうも私はそれがうまくできないのよね」

●『ラヴィング・シング』は前作の『キス&テル』のポップ路線をさらに押し進めた作品ですけど、『キス&テル』を作るとき、ビッグでポップで誰もが踊りだしたくなるような作品を作りたいと考えたそうですね?

「そうね、今回のアルバムもそうだけど、やはりアルバムごとに新しいチャレンジと言うか、これまでやったことのない方向性を目指してみたいじゃない。私達にとっては、今回のチャレンジは曲の飾りを取り去るって言うか、素のままにすることだったの。どうやって、ライヴで演奏するかということを考えるんじゃなくて、スタジオ・アルバムとして考えてみたのよ。ヴォーカルもより素に近い音を探してみたわ。とてもキャッチーなサウンドだから、結局、ライヴでやっても観客には、アルバムと同じような印象を与えることができていると思う。自分ではメロウなパーティー・アルバムだって思っているわ」

●それ以前までの男勝りのガールズ・ロックンロール・バンドという周囲からの見られ方が窮屈になりはじめていたんでしょうか?

「私達、一度もそんなイメージを作った覚えはないんだけど、そういうことを言うのは、いつだって周りの人でしょ。ある意味、悲しいことよね、女性っていうこととロックがコントラストとして扱われるって。作られたポップ・ガールか、ゴリゴリのロック・バンドしか選択肢がないっていうのもね。間には何もないみたいで。腹立たしい話だけど、私達は、どこかでその二者択一から逃れることができたんじゃないかって思っているわ」

●『キス&テル』から、以前よりもポップな曲を作るようになった理由の一つとして、ソングライティングの成長も挙げられますか?

「もちろん、たくさん学ぶことはあったし、ライヴからだって学べることはとてもたくさんあると思うわ。最初のアルバムの曲を書いた時は、何もわからずにやっていたけど、その頃に比べれば、今は曲作りの何たるかもちゃんと理解して、曲作りを楽しめるようになった。曲を作ることがどんどんおもしろくなってきているのよ。もちろん、上達もしているしね」

●『ラヴィング・シング』はサハラ・ホットナイツなりの60年代のポップスと80年代のロック・サウンドの融合ではないかと思うのですが、『ラヴィング・シング』を作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えていたんでしょうか?

「そうね。結果的にそうなったっていうこともあるけれど、プロデューサーのビヨルン(・イットリング)が60年代サウンドを作るのを手伝ってくれたっていうのが大きいかな。80年代のバンド自体、60年代のサウンドを再現しようとしていたでしょ。その中間と言うか、ミックスしたサウンドを見つけられてよかったと思うわ」

●『ラヴィング・シング』の中で特に思いいれのある曲と、その理由を教えてください。

「"チーク・トゥ・チーク"かな。最初は少しもいい曲だと思っていなかったのよ。アルバムに入れたいとも思わなかったんだけど、プロデューサーのビヨルンとジョゼフィーン(・フォースマン/DR)が、絶対に入れなきゃダメだってがんばってね。私はこの曲に何も感じなかったんだけど、結局、2人に説得されたわけ。自分がいいと思わなくても、誰かにとって何かアピールするところがあれば、案外、うまくいくって一例よね」

●『ラヴィング・シング』は大半がラヴ・ソングですが、歌詞は実体験に基づいているんですか? 

「基本的には私自身の体験かな。誰かとつきあっている時のこととか、別れようとしている時とか。恋愛関係には、さまざまな局面があるから、いつだって気になるものでしょ? たぶん、誰もがそれはどういうことなのか突き詰めてみたいって考えているんだって思うわ」

●今年、デビュー10年目を迎えましたが、10年を振り返ってどんなことを思いますか?

「ずっと楽しい10年間だったわ。もちろん、いい時も悪い時もあったけど、敢えて言うなら、10年間の恋愛関係っていう感じかしら。メンバー同士、お互いのことを理解しあって、わかりあってきた10年だと思っている。現実に、今でももっとお互いのことを理解しあうようになってきているのよ。だから、3人の親友達と過ごした最高の10年間っていう感じかな」

●これまでの最高の思い出と最悪の思い出は?

「最悪な思い出は、8週間のツアーをツアー・バスに閉じ込められて過ごすようなこととかかな。ツアーは大変だけど、うまくいっている時は、これほど楽しいことはない。だけど、ダメな時は地獄。でも、そのコントラストもそうだけど、やってみないとわからないっていうようなドキドキ感も嫌いじゃないのよね」

●最高の思い出は?

「思い出と言うか、最高の瞬間は、今だと思う。今、スタジオに入ってカヴァー・アルバムを作っているのよ。私達のこれまでの10年間のまとめと言うか、自分達が好きだった曲とか、影響を受けた曲とかをカヴァーしてみたの。ジャネット・ジャクソンからフー・ファイターズまで、いろいろな曲がミックスされているのよ。スウェーデンでは春にリリースされるんだけど、これもなるべく早く日本でリリースしなくちゃ。日本でライヴもやりたいし。何も決まってはいないんだけど、2月か3月くらいに行けたらいいわね」

●たぶん、バンドを始めた頃と現在では将来の目標は違うと思うのですが、現在のサハラ・ホットナイツの目標や09年の抱負を聞かせてください。

「目標は、まず、カヴァー・アルバムのレコーディングを無事に終わらせることね。その後は、いつかアメリカ、たとえばロサンジェルスに住んで曲を書いてみたいわね。あまりいろいろなこと考えすぎないで、一つ一つ目の前のことを考えていけばいいんじゃない? 09年の目標は、次のアルバムの曲を書くこと。実は、もう始めているんだけどね。今年も忙しくなるはずよ。夏にはフェスティバルもあるし。近いプランで言うと、もうじきメンバー全員でスキー旅行に行くのよ。今は、それが一番の楽しみかな(笑)」


(インタビュー◎山口智男)



『ラヴィング・シング』
SAHARA HOTNIGHTS
(Solitaryman)




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