アメリカの南部には
ロックの世界ではほとんど語られることがない闇がある
思えば、メンバーがそれなりに歳を食っていた割りにドライヴ・バイ・トラッカーズはオルタナ・カントリー・ブームにやや遅れてシーンに現れてきた。そして、オルタナ・カントリー・ブームが新たな局面を迎えようとしていた90年代の終わり頃でさえ、彼らは恐ろしく野暮ったいバンドだった。
おもしろいことにそんな彼らも今や、現代のアメリカン・ロックを代表するバンドの1つである。2000年代半ばに盛り上がったロックの南部回帰の流れとともにさらなる注目を集めたことが転機になったことは言うまでもない。それと同時に現代のアメリカン・ロックを代表するにふさわしい作品も作るようになった。
フロントマンのパターソン・フッド(ヴォーカル、ギター)が語っているように『Southern Rock Opera』(01年)で注目された彼らは、その後、ニュー・ウェスト・レコードに移籍して、『Decoration Day』(03年)を皮切りにバンドの洗練を思わせる素晴らしい作品を次々にリリースしていった。そして、04年の『The Dirty South』からはむさ苦しい男所帯に紅一点メンバー、ショナ・タッカー(ベース)が加わった。
これはその『The Dirty South』リリース直後のパターソン・フッドの未発表インタビューである。
『The Dirty South』以降もバンドの良き理解者であるプロデューサー、デヴィッド・バービーと組み、力作をリリースしつづける一方、ベティ・ラヴェット、ブッカー・Tといったロックの黄金時代以前から活躍してきたベテランの復活に手を貸してきたドライヴ・バイ・トラッカーズは今年、レア・トラックなどをまとめた『Fine Print : A Collection of Oddities and Rarities』を置き土産に長年在籍したニュー・ウェスト・レコードを離れ、デイヴ・マシューズのATOレコードに移籍した。
すでに取り組みはじめているという新作は来年リリースの予定だそうだ。
●ドライヴ・バイ・トラッカーズ結成のいきさつを、まず教えてください。
「元々、マイク・クーリー(ギター)と俺はアラバマのフローレンス/マッスル・ショールズでアダムズ・ハウス・キャットってバンドをやっていたんだ。85年頃のことだよ。その後、96年にドライヴ・バイ・トラッカーズを結成して、98年に1stアルバム『Gangstabilly』をリリースした。それ以来、ほぼ1年に1枚、アルバムをリリースしてきた。同時に俺達は99年からずっと年間200〜250本のライヴもやってきた。4作目のアルバム『Southern Rock Opera』をリリースしてから、俺達はやっと注目されるようになったんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズを始めたとき、こんな音楽を演奏したいというはっきりしたアイディアはありましか?
「いや。ただ、このバンドで演奏しつづけたいと考えていただけだよ。もちろん、それなりのレベルの音楽を作りつづけながらね」
●これまでどんな音楽を聴いてきたんですか?
「ここ最近はマリアンヌ・フェイスフルの新しいアルバムやカニエ・ウェスト、PJ・ハーヴェイ、アラバマのタスカルーサのバンド、デクサティーンズ、それにテキサスのデントンのバンド、セントロ・マティックを聴いているよ。セントロ・マティックは特にお気に入りなんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズに最も影響を与えたバンドと言うと?
「挙げきれないぐらいいっぱいいるよ。メンバーそれぞれにいろいろな音楽を聴いているからね。俺達全員、ヒップホップもクラシック・ロックも古いカントリーもR&Bもサザン・ソウルも大好きなんだ。どうしても誰か1人挙げなきゃならないって言うんだったら、俺はトッド・ラングレンの大ファンだよ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズというバンド名には、どんな意味が隠されているんですか?
「ハハ。何て言うか、単なる酔っ払いの戯言だから、意味と言われてもね(苦笑)。もちろん、96年頃の俺達は、それがかっこいいと思っていたんだけどね(笑)。いつかちゃんと意味のある名前に変えようと思いながら、そのタイミングをすっかり逃しちゃったみたいだな」
●以前、ハープ・マガジンが「Southern Rock Revival Is Going On」という特集を組み、ドライヴ・バイ・トラッカーズの他、マイ・モーニング・ジャケット、キングス・オブ・レオン、リジェンダリー・シャック・シェイカーズ、ルセロといったバンドを取り上げていました。サザン・ロックがリヴァイヴァルしているという実感はありますか?
「どうかな。俺自身はジャンルとしてのサザン・ロックはそれほど好きじゃない。俺はロックンロールが好きなんだよ。もちろん、それはアメリカの南部で生まれたわけだけどね。俺達はロックを演奏しているのさ。それがたまたま南部だったっていう話だよ。俺に言わせれば、いわゆるサザン・ロックのほとんどは退屈に聴こえるね」
●じゃあ、ドライヴ・バイ・トラッカーズはサザン・ロック・バンドではないと?
「ああ。俺達は南部出身のロックンロール・バンドだと思っているよ」
●でも、『Southern Rock Opera』というアルバムをリリースしましたよね。
「あの作品はサザン・ロックのアルバムではないよ。サザン・ロックと、その盛衰を描いた作品なんだ。俺達の次のアルバムは、あのアルバムとは全然違うものになるはずさ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズの曲からは、南部人のアイデンティティーと、それを誇りに思う気持ちが伝わってきます。アメリカの南部は多くの日本人にとってとてもミステリアスだからこそ、僕らは南部とその文化に憧れると同時に恐れも感じているわけですけど、あなたにとって南部の魅力とは?
「確かに憧れと恐れが感じられるよね。何だろう? 俺自身、ちゃんとわかっていないんだよ。俺は41年間、ここで暮らしているけど、やっぱりそういうミステリアスなところが好きなんだろうな」
●だけど、あなたはあなたが生まれ育ったところを、最新作で『The Dirty South』と表現していますね。なぜ、「dirty」なんですか?
「アメリカのヒップホップのシーンでは、南東部…特にアトランタ出身のアーティストは、ダーティー・サウスと呼ばれているんだ。それはグッディー・モブの曲に由来しているんだけど、俺達全員、その表現が気に入ってね。俺達がアルバムで言おうとしていることにぴったりだと思ったんだ。
南部はアメリカの美化された部分かもしれないけど、ロックの世界ではほとんど語られることがない闇がある。でも、それはヒップホップの世界ではしょっちゅう取り上げられているんだけどね。
言うまでもないことだけど、ロックとヒップホップはジャンルという意味では全然違う音楽だけど、俺に言わせればジャンルなんてどうでもいいんだよ。俺はどんなジャンルの音楽だって好きなんだ。曲さえよければいいのさ。おもしろいことを歌っていようが、くだらないことを歌っていようが関係ない。そこにリアルな感情表現が感じられるか、あるいは俺に踊りたいと思わせれば、俺はそれが好きなんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズのライヴは2度見たことがあるんですけど、そのどちらでもファンは「Sink Hole」(『Decoration Day』収録)の「Bury his body in the old sink hole」というサビを聴いて熱狂していました。その光景がとても印象に残っているんですけど、確かに「Sink Hole」は現代のマーダー・バラッドと言えるストーリーを持っています。あの曲は実話が基になっているんですか?
「いや、フィクションだよ。ただ、ディテールの多くは事実なんだ。実際、俺はそれが俺のところに渡る頃にはもう一族の所有ではなくなっているにちがいない農場で育ったんだ。そこには本当にシンク・ホールがあって、俺はそこから歌の主人公の誇りある決断を思いついたんだ。それとは別に何年か前のアカデミー賞を受賞したレイ・マキノンの『The Accountant』って短編映画からもインスピレーションをもらったよ。それは一族の農場を失うダーク・コメディーなんだけど、美しくて、おかしくて、悲劇的な作品なんだ。俺のオール・タイム・フェイヴァリットの1本さ」
●ウェス・フリードが手がけているアルバムのアートワークについても話を聞かせてください。彼のアートワークは僕がドライヴ・バイ・トラッカーズのCDを買うもう1つ理由でもあるんですけど、あなたは彼の絵のどんなところに惹かれるんですか?
「彼はいつも俺をびっくりさせるんだよ。俺達は彼に、こういう絵を描いてほしいと注文したことは一度もないんだ。いつも歌詞のコピーと完成前のラフ・ミックスを渡すだけで、彼はそれを聴いて、頭に思い浮かべた物を描いているだけなんだ。まさに天才だよね。断っておくけど、俺は天才って言葉をふだん使ったりしないんだぜ」
●アルバムを通して伝えたいことを説明するわけではないんですね。
「たまに質問されることもあるけど、彼は俺達が何を言わんとしているかちゃんと理解しているんだよ。彼自身がインスピレーションになったことも何回かあるくらいさ。彼は俺達の曲について、曲を作った俺自身が気づいてもいないようなことを語ることもあるんだよ」
●ところで、ジェイソン(・イズベル/ギター。その後、バンドを抜け、ソロに転向。現在は自身のバンド、400ユニットを率いている)とショナは他のメンバーよりもかなり年下ですよね。ジェイソンとショナはどんなふうにバンドに加わったんですか?
「バンドに加わったのはジェイソンのほうが早かったけど、知り合ったのはショナが先だった。俺の親父がショナの存在を教えてくれたんだよ。偶然にもショナは俺の友達のルームメイトだったんだ。彼女はジェイソンと何年もの間、バンドをやったりやらなかったりしていたらしい。だから、ショナのルームメイトでもある俺の友達を訪ねているうちにジェイソンとも知り合いになったってわけさ」
●2人の若い才能はバンドに何をもたらしましたか?
「言葉では表現しきれないぐらい多くのことをもたらしてくれたよ。彼らは素晴らしい才能の持ち主なんだよ。2人のおかげで俺達は一皮剥けたと言ってもいいぐらいさ」
●若い彼らには、彼らの兄として接しているんですか? それともあくまでも対等の関係?
「もちろん、対等の関係だよ。俺達のバンドはメンバー全員が対等なんだ。もっとも、場合によっては、俺のほうが彼らの弟なんじゃないかって思うこともある。俺は時々、若いパンク・キッズみたいになっちゃうことがあるからね(苦笑)」
●それでは最後の質問です。ミュージシャンとして、あなたのゴールは?
「1000曲レコーディングすること。生きているかぎり演奏しつづけること。もちろん、生きているかぎり、ドライヴ・バイ・トラッカーズも続けるよ。できれば、映画も作りたい。とにかく俺はやりたいことを、常に自分がやりたいようにやりつづけるよ」
(インタビュー◎山口智男)
ロックの世界ではほとんど語られることがない闇がある
思えば、メンバーがそれなりに歳を食っていた割りにドライヴ・バイ・トラッカーズはオルタナ・カントリー・ブームにやや遅れてシーンに現れてきた。そして、オルタナ・カントリー・ブームが新たな局面を迎えようとしていた90年代の終わり頃でさえ、彼らは恐ろしく野暮ったいバンドだった。
おもしろいことにそんな彼らも今や、現代のアメリカン・ロックを代表するバンドの1つである。2000年代半ばに盛り上がったロックの南部回帰の流れとともにさらなる注目を集めたことが転機になったことは言うまでもない。それと同時に現代のアメリカン・ロックを代表するにふさわしい作品も作るようになった。
フロントマンのパターソン・フッド(ヴォーカル、ギター)が語っているように『Southern Rock Opera』(01年)で注目された彼らは、その後、ニュー・ウェスト・レコードに移籍して、『Decoration Day』(03年)を皮切りにバンドの洗練を思わせる素晴らしい作品を次々にリリースしていった。そして、04年の『The Dirty South』からはむさ苦しい男所帯に紅一点メンバー、ショナ・タッカー(ベース)が加わった。
これはその『The Dirty South』リリース直後のパターソン・フッドの未発表インタビューである。
『The Dirty South』以降もバンドの良き理解者であるプロデューサー、デヴィッド・バービーと組み、力作をリリースしつづける一方、ベティ・ラヴェット、ブッカー・Tといったロックの黄金時代以前から活躍してきたベテランの復活に手を貸してきたドライヴ・バイ・トラッカーズは今年、レア・トラックなどをまとめた『Fine Print : A Collection of Oddities and Rarities』を置き土産に長年在籍したニュー・ウェスト・レコードを離れ、デイヴ・マシューズのATOレコードに移籍した。
すでに取り組みはじめているという新作は来年リリースの予定だそうだ。
●ドライヴ・バイ・トラッカーズ結成のいきさつを、まず教えてください。
「元々、マイク・クーリー(ギター)と俺はアラバマのフローレンス/マッスル・ショールズでアダムズ・ハウス・キャットってバンドをやっていたんだ。85年頃のことだよ。その後、96年にドライヴ・バイ・トラッカーズを結成して、98年に1stアルバム『Gangstabilly』をリリースした。それ以来、ほぼ1年に1枚、アルバムをリリースしてきた。同時に俺達は99年からずっと年間200〜250本のライヴもやってきた。4作目のアルバム『Southern Rock Opera』をリリースしてから、俺達はやっと注目されるようになったんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズを始めたとき、こんな音楽を演奏したいというはっきりしたアイディアはありましか?
「いや。ただ、このバンドで演奏しつづけたいと考えていただけだよ。もちろん、それなりのレベルの音楽を作りつづけながらね」
●これまでどんな音楽を聴いてきたんですか?
「ここ最近はマリアンヌ・フェイスフルの新しいアルバムやカニエ・ウェスト、PJ・ハーヴェイ、アラバマのタスカルーサのバンド、デクサティーンズ、それにテキサスのデントンのバンド、セントロ・マティックを聴いているよ。セントロ・マティックは特にお気に入りなんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズに最も影響を与えたバンドと言うと?
「挙げきれないぐらいいっぱいいるよ。メンバーそれぞれにいろいろな音楽を聴いているからね。俺達全員、ヒップホップもクラシック・ロックも古いカントリーもR&Bもサザン・ソウルも大好きなんだ。どうしても誰か1人挙げなきゃならないって言うんだったら、俺はトッド・ラングレンの大ファンだよ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズというバンド名には、どんな意味が隠されているんですか?
「ハハ。何て言うか、単なる酔っ払いの戯言だから、意味と言われてもね(苦笑)。もちろん、96年頃の俺達は、それがかっこいいと思っていたんだけどね(笑)。いつかちゃんと意味のある名前に変えようと思いながら、そのタイミングをすっかり逃しちゃったみたいだな」
●以前、ハープ・マガジンが「Southern Rock Revival Is Going On」という特集を組み、ドライヴ・バイ・トラッカーズの他、マイ・モーニング・ジャケット、キングス・オブ・レオン、リジェンダリー・シャック・シェイカーズ、ルセロといったバンドを取り上げていました。サザン・ロックがリヴァイヴァルしているという実感はありますか?
「どうかな。俺自身はジャンルとしてのサザン・ロックはそれほど好きじゃない。俺はロックンロールが好きなんだよ。もちろん、それはアメリカの南部で生まれたわけだけどね。俺達はロックを演奏しているのさ。それがたまたま南部だったっていう話だよ。俺に言わせれば、いわゆるサザン・ロックのほとんどは退屈に聴こえるね」
●じゃあ、ドライヴ・バイ・トラッカーズはサザン・ロック・バンドではないと?
「ああ。俺達は南部出身のロックンロール・バンドだと思っているよ」
●でも、『Southern Rock Opera』というアルバムをリリースしましたよね。
「あの作品はサザン・ロックのアルバムではないよ。サザン・ロックと、その盛衰を描いた作品なんだ。俺達の次のアルバムは、あのアルバムとは全然違うものになるはずさ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズの曲からは、南部人のアイデンティティーと、それを誇りに思う気持ちが伝わってきます。アメリカの南部は多くの日本人にとってとてもミステリアスだからこそ、僕らは南部とその文化に憧れると同時に恐れも感じているわけですけど、あなたにとって南部の魅力とは?
「確かに憧れと恐れが感じられるよね。何だろう? 俺自身、ちゃんとわかっていないんだよ。俺は41年間、ここで暮らしているけど、やっぱりそういうミステリアスなところが好きなんだろうな」
●だけど、あなたはあなたが生まれ育ったところを、最新作で『The Dirty South』と表現していますね。なぜ、「dirty」なんですか?
「アメリカのヒップホップのシーンでは、南東部…特にアトランタ出身のアーティストは、ダーティー・サウスと呼ばれているんだ。それはグッディー・モブの曲に由来しているんだけど、俺達全員、その表現が気に入ってね。俺達がアルバムで言おうとしていることにぴったりだと思ったんだ。
南部はアメリカの美化された部分かもしれないけど、ロックの世界ではほとんど語られることがない闇がある。でも、それはヒップホップの世界ではしょっちゅう取り上げられているんだけどね。
言うまでもないことだけど、ロックとヒップホップはジャンルという意味では全然違う音楽だけど、俺に言わせればジャンルなんてどうでもいいんだよ。俺はどんなジャンルの音楽だって好きなんだ。曲さえよければいいのさ。おもしろいことを歌っていようが、くだらないことを歌っていようが関係ない。そこにリアルな感情表現が感じられるか、あるいは俺に踊りたいと思わせれば、俺はそれが好きなんだ」
●ドライヴ・バイ・トラッカーズのライヴは2度見たことがあるんですけど、そのどちらでもファンは「Sink Hole」(『Decoration Day』収録)の「Bury his body in the old sink hole」というサビを聴いて熱狂していました。その光景がとても印象に残っているんですけど、確かに「Sink Hole」は現代のマーダー・バラッドと言えるストーリーを持っています。あの曲は実話が基になっているんですか?
「いや、フィクションだよ。ただ、ディテールの多くは事実なんだ。実際、俺はそれが俺のところに渡る頃にはもう一族の所有ではなくなっているにちがいない農場で育ったんだ。そこには本当にシンク・ホールがあって、俺はそこから歌の主人公の誇りある決断を思いついたんだ。それとは別に何年か前のアカデミー賞を受賞したレイ・マキノンの『The Accountant』って短編映画からもインスピレーションをもらったよ。それは一族の農場を失うダーク・コメディーなんだけど、美しくて、おかしくて、悲劇的な作品なんだ。俺のオール・タイム・フェイヴァリットの1本さ」
●ウェス・フリードが手がけているアルバムのアートワークについても話を聞かせてください。彼のアートワークは僕がドライヴ・バイ・トラッカーズのCDを買うもう1つ理由でもあるんですけど、あなたは彼の絵のどんなところに惹かれるんですか?
「彼はいつも俺をびっくりさせるんだよ。俺達は彼に、こういう絵を描いてほしいと注文したことは一度もないんだ。いつも歌詞のコピーと完成前のラフ・ミックスを渡すだけで、彼はそれを聴いて、頭に思い浮かべた物を描いているだけなんだ。まさに天才だよね。断っておくけど、俺は天才って言葉をふだん使ったりしないんだぜ」
●アルバムを通して伝えたいことを説明するわけではないんですね。
「たまに質問されることもあるけど、彼は俺達が何を言わんとしているかちゃんと理解しているんだよ。彼自身がインスピレーションになったことも何回かあるくらいさ。彼は俺達の曲について、曲を作った俺自身が気づいてもいないようなことを語ることもあるんだよ」
●ところで、ジェイソン(・イズベル/ギター。その後、バンドを抜け、ソロに転向。現在は自身のバンド、400ユニットを率いている)とショナは他のメンバーよりもかなり年下ですよね。ジェイソンとショナはどんなふうにバンドに加わったんですか?
「バンドに加わったのはジェイソンのほうが早かったけど、知り合ったのはショナが先だった。俺の親父がショナの存在を教えてくれたんだよ。偶然にもショナは俺の友達のルームメイトだったんだ。彼女はジェイソンと何年もの間、バンドをやったりやらなかったりしていたらしい。だから、ショナのルームメイトでもある俺の友達を訪ねているうちにジェイソンとも知り合いになったってわけさ」
●2人の若い才能はバンドに何をもたらしましたか?
「言葉では表現しきれないぐらい多くのことをもたらしてくれたよ。彼らは素晴らしい才能の持ち主なんだよ。2人のおかげで俺達は一皮剥けたと言ってもいいぐらいさ」
●若い彼らには、彼らの兄として接しているんですか? それともあくまでも対等の関係?
「もちろん、対等の関係だよ。俺達のバンドはメンバー全員が対等なんだ。もっとも、場合によっては、俺のほうが彼らの弟なんじゃないかって思うこともある。俺は時々、若いパンク・キッズみたいになっちゃうことがあるからね(苦笑)」
●それでは最後の質問です。ミュージシャンとして、あなたのゴールは?
「1000曲レコーディングすること。生きているかぎり演奏しつづけること。もちろん、生きているかぎり、ドライヴ・バイ・トラッカーズも続けるよ。できれば、映画も作りたい。とにかく俺はやりたいことを、常に自分がやりたいようにやりつづけるよ」
(インタビュー◎山口智男)
『The Dirty South』
(New West)
ヴァージニア州リッチモンド在住のアーティスト、ウェス・フリードによるアートワークも素晴らしい。因みにフリードは以前、ダートボールやシャイナーズといったバンドを率い、ミュージシャンとして活躍していた。
『Southern Rock Opera』
(Lost Highway)
『Decoration Day』
(New West)
『A Blessing And A Curse』
(New West)
『Brighter Than
Creation's Dark』
(New West)
『Fine Print :
A Collection of Oddities and Rarities』
(New West)
『Murdering Oscar
(and other love songs)』
Patterson Hood(Ruth St.)