新作はほとんどライヴ・レコーディングで、あっという間に完成させちゃったんだ
ブライト・アイズことコナー・オバーストの新しいバンド、ミスティック・ヴァレー・バンドのギタリスト――。
そう言った方が明らかに通りがいいということだけではなく、コナー・オバーストとの出会いは、彼にとって大きな転機になったと思うから、とりあえず、そんなふうに紹介してみるけれど、アラバマ州バーミンガム出身のテイラー・ホリングスワースは26歳の若さにして、すでに10年以上の活動歴を持つ、少なくともアラバマのローカル・シーンではそれなり知られたミュージシャンだ。
テイラー&ザ・パフズ名義も含め、これまでに3枚のアルバムと2枚のEPをリリースしている。
最新作は09年11月にリリースした『LIFE WITH A SLOW EAR』。
盟友コナー・オバーストのレーベル、チーム・ラヴからリリースした、その『LIFE WITH A SLOW EAR』は、これまでのグラマラスなロックンロール路線を改め、元々持っていたルーツ・ミュージック志向を露にしたことを思わせる異色作。
悪魔の存在を歌った冒頭の「I DIDN'T KNOW IT WAS THE DEVIL」他、自作のブルース・ナンバーの数々が、彼の新たな魅力を印象づけている。
●14歳の時にはギタリストとして、すでにキャリアをスタートさせていたそうですね。ギターを手に取ったきっかけって、どんなことだったんですか?
「アニキがギターを弾いていたんだよ。それで、俺も真似して弾きはじめたってわけ。特に、これだっていうきっかけがあったわけじゃないよ。試しに弾いてみたら、たまたまハマっちゃったんだ」
●ギターを練習しているときは、どんな音楽を聴いていたんですか?
「その頃は、ふつうにみんなが聴いているようなロックが好きだったよ。ニルヴァーナとかスマッシング・パンプキンズとか、レッド・ツェッペリンとかジミ・ヘンドリックとかね。それから、いろいろ音楽を聴くようになった。あらゆるスタイルのね」
●この数年間はミスティック・ヴァレー・バンドで演奏しているけど、コナー・オバースとはどんなふうに知り合い、彼の新しいバンドに加わることになったんですか?
ミスティック・ヴァレー・バンド。左端がテイラー
「コナーが俺の友達の女の子とつきあってたんだよ。最初は友達の友達みたいな感じだったんだけど、俺はずっとコナーのことを、いい奴だなって思ってて、コナーとメイシー(・テイラー。テイラーの友人で、ミスティック・ヴァレー・バンドのベーシスト)とメキシコに遊びにいったとき、コナーから新しいバンドに加わらないかって誘われたのさ。言っちゃえば、なりゆきだね」
●ミスティック・ヴァレー・バンドに参加してよかったことは?
「素晴らしい友達が増えたよ。それにいろいろな刺激も受けた。特に音楽の面でね、ミスティック・ヴァレー・バンドは最高だよ」
●新作の『LIFE WITH A SLOW EAR』について聞かせてください。素晴らしい作品になりましたね。
「ありがとう! 自信作だよ。ほとんどライヴ・レコーディングしたんだ。そこが気に入ってる。そのやり方をとことん追求してみたいんだ。あっという間に完成させちゃったんだよ。確か8日間ぐらいしかかかってないんじゃないかな」
●以前のグラマラスなロックンロール路線を改め、今回はよりフォーキーかつブルージーなアコースティック・サウンドにアプローチしていますね。ロックンロールはもう卒業ということ?
「いや、今後もロックンロールは演奏しつづけるよ。ただ、今回はよりシンプルな作品を作りたかったんだよね。だからって、明確なアイディアがあったわけではない。たまたまアコースティック・ギター一本で演奏できるような曲を演りたかったんだよ。近い将来、もっと大音量のギター・ロック作品を作るかもしれないよ」
●新作を作るにあたって、コナーは何かアドバイスしてくれましたか?
「もちろん! コナーのレーベル、チーム・ラヴからリリースできるなんてね。チーム・ラヴからリリースすることが、俺の第一希望だったんだ。だって、レーベルのスタッフはみんな俺の友達だからね。コナーは新作を気に入ってくれて、もしレーベルが必要なら、チーム・ラヴから喜んでリリースするよって言ってくれたんだ。チーム・ラヴに加わって、友人達と一緒に仕事できるなんてホント最高だよ」
●1stアルバムの『TRAGIC CITY』に「I'M A RUNWAY (NEW ORLEANS)」という曲が収録されていたけど、新作にも「NEW ORLEANS BLUES」という曲が収録されていますね。ニューオリンズに何か特別な思い出や思い入れがあるんですか?
「俺にとってニューオリンズは心の故郷なんだ(笑)。ニューオリンズには俺の家から約5時間のドライヴで行ける。だから何度も訪れては、どんちゃん騒ぎをしてきたよ」
●新作にはケイト・テイラーが参加しているけど、彼女のお姉さんのマリアやお兄さんのメイシーとも共演経験がありますね。
「ああ。テイラー一家は、俺にとっては家族同然なんだよ。ケイトは俺の彼女だし、近い将来、嫁さんになるだろうしね」
●それはよかったですね。テイラー一家とはどんなふうに知り合ったんですか?
デッド・フィンガーズ。テイラーとケイト・テイラー
「同じ町の出身なんだよ。小さい町だから、音楽をやってれば、いやでも知り合いになる。それにケイトと俺は同じレストランでバイトしていたこともあるしね。ケイトと俺はデッド・フィンガーズって新しいバンドを始めたんだけど、来年、アルバムをリリースしようと思って、今、準備しているところなんだ」
●そう言えば、ソロやミスティック・ヴァレー・バンドの他にも複数のバンドをやっていましたよね?
「ああ、何か新しいバンドを始めると、それがまた別のバンドにつながるんだよ。ただ、これからはデッド・フィンガーズに集中したいと思っている。と言いつつ、S.D.X.とムッシュ・ジェフリー・エヴァンズのサザン・エイセスでもプレイしているけどね。S.D.X.はスウィート・ドッグ・エクスペリエンスの頭文字なんだけど、ドラマーがスウィート・ドッグ(アラバマのガレージ・ロックンロール・バンド、デクサティーンズの元ドラマー)って言うんだ。S.D.X.では、エレクトリック・ギターによるエクスペリメンタルな即興音楽をやっている。マジぶっ飛んでるよ。ムッシュ・ジェフリー・エヴァンズはメンフィスのミュージシャンで、以前は68カムバックってバンドをやってたんだよ。その2つとデッド・フィンガーズが現在、俺がメインでやっているバンドかな」
●あらゆるタイプの音楽を聴いていると言っていたけど、最近はどんな音楽を聴いているんですか?
「今、聴いているのはジョン・フェイヒー、ジョン・プライン、ポール・サイモン、ライトニン・ホプキンス、ハウンドドッグ・テイラー、ロイヤル・トラックス、ワンダ・ジャクソン、ロバート・スティーヴン・ムーアー…そんなところかな」
●最後に今後の活動予定を教えてください。
「いろいろやりたいことはあるけどね。そうだな、ただ1つ確実に言えるのは、何にも囚われない自由な精神で音楽とアートを作りつづけるってことかな」
(インタビュー◎山口智男)
ブライト・アイズことコナー・オバーストの新しいバンド、ミスティック・ヴァレー・バンドのギタリスト――。
そう言った方が明らかに通りがいいということだけではなく、コナー・オバーストとの出会いは、彼にとって大きな転機になったと思うから、とりあえず、そんなふうに紹介してみるけれど、アラバマ州バーミンガム出身のテイラー・ホリングスワースは26歳の若さにして、すでに10年以上の活動歴を持つ、少なくともアラバマのローカル・シーンではそれなり知られたミュージシャンだ。
テイラー&ザ・パフズ名義も含め、これまでに3枚のアルバムと2枚のEPをリリースしている。
最新作は09年11月にリリースした『LIFE WITH A SLOW EAR』。
盟友コナー・オバーストのレーベル、チーム・ラヴからリリースした、その『LIFE WITH A SLOW EAR』は、これまでのグラマラスなロックンロール路線を改め、元々持っていたルーツ・ミュージック志向を露にしたことを思わせる異色作。
悪魔の存在を歌った冒頭の「I DIDN'T KNOW IT WAS THE DEVIL」他、自作のブルース・ナンバーの数々が、彼の新たな魅力を印象づけている。
●14歳の時にはギタリストとして、すでにキャリアをスタートさせていたそうですね。ギターを手に取ったきっかけって、どんなことだったんですか?
「アニキがギターを弾いていたんだよ。それで、俺も真似して弾きはじめたってわけ。特に、これだっていうきっかけがあったわけじゃないよ。試しに弾いてみたら、たまたまハマっちゃったんだ」
●ギターを練習しているときは、どんな音楽を聴いていたんですか?
「その頃は、ふつうにみんなが聴いているようなロックが好きだったよ。ニルヴァーナとかスマッシング・パンプキンズとか、レッド・ツェッペリンとかジミ・ヘンドリックとかね。それから、いろいろ音楽を聴くようになった。あらゆるスタイルのね」
●この数年間はミスティック・ヴァレー・バンドで演奏しているけど、コナー・オバースとはどんなふうに知り合い、彼の新しいバンドに加わることになったんですか?
ミスティック・ヴァレー・バンド。左端がテイラー
●ミスティック・ヴァレー・バンドに参加してよかったことは?
「素晴らしい友達が増えたよ。それにいろいろな刺激も受けた。特に音楽の面でね、ミスティック・ヴァレー・バンドは最高だよ」
●新作の『LIFE WITH A SLOW EAR』について聞かせてください。素晴らしい作品になりましたね。
「ありがとう! 自信作だよ。ほとんどライヴ・レコーディングしたんだ。そこが気に入ってる。そのやり方をとことん追求してみたいんだ。あっという間に完成させちゃったんだよ。確か8日間ぐらいしかかかってないんじゃないかな」
●以前のグラマラスなロックンロール路線を改め、今回はよりフォーキーかつブルージーなアコースティック・サウンドにアプローチしていますね。ロックンロールはもう卒業ということ?
「いや、今後もロックンロールは演奏しつづけるよ。ただ、今回はよりシンプルな作品を作りたかったんだよね。だからって、明確なアイディアがあったわけではない。たまたまアコースティック・ギター一本で演奏できるような曲を演りたかったんだよ。近い将来、もっと大音量のギター・ロック作品を作るかもしれないよ」
●新作を作るにあたって、コナーは何かアドバイスしてくれましたか?
「もちろん! コナーのレーベル、チーム・ラヴからリリースできるなんてね。チーム・ラヴからリリースすることが、俺の第一希望だったんだ。だって、レーベルのスタッフはみんな俺の友達だからね。コナーは新作を気に入ってくれて、もしレーベルが必要なら、チーム・ラヴから喜んでリリースするよって言ってくれたんだ。チーム・ラヴに加わって、友人達と一緒に仕事できるなんてホント最高だよ」
●1stアルバムの『TRAGIC CITY』に「I'M A RUNWAY (NEW ORLEANS)」という曲が収録されていたけど、新作にも「NEW ORLEANS BLUES」という曲が収録されていますね。ニューオリンズに何か特別な思い出や思い入れがあるんですか?
「俺にとってニューオリンズは心の故郷なんだ(笑)。ニューオリンズには俺の家から約5時間のドライヴで行ける。だから何度も訪れては、どんちゃん騒ぎをしてきたよ」
●新作にはケイト・テイラーが参加しているけど、彼女のお姉さんのマリアやお兄さんのメイシーとも共演経験がありますね。
「ああ。テイラー一家は、俺にとっては家族同然なんだよ。ケイトは俺の彼女だし、近い将来、嫁さんになるだろうしね」
●それはよかったですね。テイラー一家とはどんなふうに知り合ったんですか?
デッド・フィンガーズ。テイラーとケイト・テイラー
●そう言えば、ソロやミスティック・ヴァレー・バンドの他にも複数のバンドをやっていましたよね?
「ああ、何か新しいバンドを始めると、それがまた別のバンドにつながるんだよ。ただ、これからはデッド・フィンガーズに集中したいと思っている。と言いつつ、S.D.X.とムッシュ・ジェフリー・エヴァンズのサザン・エイセスでもプレイしているけどね。S.D.X.はスウィート・ドッグ・エクスペリエンスの頭文字なんだけど、ドラマーがスウィート・ドッグ(アラバマのガレージ・ロックンロール・バンド、デクサティーンズの元ドラマー)って言うんだ。S.D.X.では、エレクトリック・ギターによるエクスペリメンタルな即興音楽をやっている。マジぶっ飛んでるよ。ムッシュ・ジェフリー・エヴァンズはメンフィスのミュージシャンで、以前は68カムバックってバンドをやってたんだよ。その2つとデッド・フィンガーズが現在、俺がメインでやっているバンドかな」
●あらゆるタイプの音楽を聴いていると言っていたけど、最近はどんな音楽を聴いているんですか?
「今、聴いているのはジョン・フェイヒー、ジョン・プライン、ポール・サイモン、ライトニン・ホプキンス、ハウンドドッグ・テイラー、ロイヤル・トラックス、ワンダ・ジャクソン、ロバート・スティーヴン・ムーアー…そんなところかな」
●最後に今後の活動予定を教えてください。
「いろいろやりたいことはあるけどね。そうだな、ただ1つ確実に言えるのは、何にも囚われない自由な精神で音楽とアートを作りつづけるってことかな」
(インタビュー◎山口智男)
『LIFE WITH A SLOW EARE』
(TEAM LOVE)