ニューヨークに着いた日、肉切り包丁で左の人差し指を切って、
プロデューサーの家を血の海にしちゃった!
一体、いつの時代の人達なの?!
彼女達が演奏している音楽はもちろん、ファッションも含め、そんなことを思わせるずっこけたセンスが何だかとっても頼もしい。
テネシー州マーフリーズボロの女の子3人組(+男性ドラマー)、ゾーズ・ダーリンズ。
グループ名を冠したデビュー・アルバムのリリースや、それに先駆けたSXSWやボナルー出演をきっかけに多くのメディアに取り上げられ、何やら一気に全国区の存在になりそうな気配さえ感じさせる。
大雑把に言えば、40〜50年代頃のポピュラー・ミュージックが持っていた雰囲気を巧みに再現したオリジナル・ナンバーとカーター・ファミリー他のカヴァーをジャカジャカジャカと演奏した、その懐かしさとガレージ・パンクという言葉に言い換えることもできる今っぽさ、それに姦しさ――それらが老若男女、幅広い人達に大歓迎されたにちがいない。
もちろん、今のままでも十二分に魅力的。しかし、この南部のじゃじゃ馬達。磨けば、その魅力はもっともっと輝きはじめるにちがいない。
ウワサのかわいコちゃん達にインタビューを申込んだところ、ツアー中にもかかわらず、グループを代表して、ニッキ・ダーリンが質問に答えてくれた。
●まず、自己紹介をお願いします!
「ゾーズ・ダーリンズはベース&ギターのケリー・ダーリンとギターのジェシー・ダーリンとバリトン・ウクレレの私、ニッキ・ダーリン、そしてドラムのシェリフ・リンの4人よ」
●ゾーズ・ダーリンズはいつ頃、どんなふうに活動を始めたんですか?
「3年前、テネシー州マーフリーズボロのサザン・ガールズ・ロックンロール・キャンプ(※)で知り合ったのよ。最初は、ただ一緒に演奏したり、それぞれに知っている曲を教えあったりしていただけだったんだけど、それが自然に発展して、オリジナル曲を作ったり、人前で演奏したりするようになったのよ。始めた頃は私達3人だけの女の子バンドだったんだけど、1年前にリンが加わって、精力的にツアーするようになったわ」
(※ケリーが始めた毎年恒例の夏合宿。音楽を演奏することを通して、女性の自尊心を養うことを目的としている。10歳〜17歳の女の子が参加できる。ケリーはそこでギターを教えているそうだ。)
●好きなバンド/ミュージシャンと言うと?
「難しい質問ね(笑)。だって、大好きなバンドもミュージシャンもいっぱいいるもの。それに私達が音楽を作るうえでインスピレーションを受けている人達のリストだって、いくらでも作れるわよ。ただ、私達が本当に影響を受けているという意味では、思うにカーター・ファミリー、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ジョー・ミーク、ワンダ・ジャクソン、ニック・ロウ、ロビン・ヒッチコック、それにラモーンズね」
●その中で最も影響を受けたのは?
「カーター・ファミリー!」
●カントリー/フォーク、ブルース、オールドタイム・ジャズ、ロックンロール、そしてパンクといった多彩な音楽の要素を持っているゾーズ・ダーリンズの音楽を、まだ一度も聴いたことがない人に紹介するとしたら、どんなふうに説明しますか?
「楽しい音楽!」
●音楽はもちろんなんですけど、みなさんのファッションもとてもユニークですね。
「私達の服のほとんどは古着屋で買ったか、友達がくれたものなのよ。中には街の人達が要らなくなった物を捨てる集積所で見つけた掘り出し物もあるわよ」
●じゃあ、好きなブランドなんかは…。
「ブランドなんて興味ないわよ。だって、私達にはブランド物を買う余裕なんてないもの」
●ところで、デビュー・アルバムはニューヨークでレコーディングしましたよね。なぜ、地元から離れたニューヨークを選んだんですか?
「場所はどこでもよかったのよ。私達がプロデュースをお願いしたいと考えていた人(ヴァンパイア・ウィークエンドなどを手がけたジェフ・カーティン)がニューヨークにいたのよ。それにナッシュヴィルは私達をカントリー・バンドだと決めつけていたしね。自分達が求めているサウンドがあっても、ナッシュヴィルでは自分達が望んでいるようにはできないのよ」
●ニューヨークでの生活はいかがでしたか?
「私達全員にとって素晴らしい経験だった」
●何かおもしろいエピソードってあります?
「そうね、ニューヨークに着いた最初の日、レコーディングも何もまだ全然始めていなかったのに、私達全員、ウィスキーを飲みすぎちゃったのよね(苦笑)。酔っ払ったら、気持ちが大きくなって、私、肉切り包丁の柄でビールの栓を抜きはじめて、しまいに左の人差し指を切って、プロデューサーの家を血の海にしちゃった! その指はいまだに感覚がないのよね。だけど、ジェシーなんてそこら中の床にもどしたのよ!! それで、その夜はお開きよ。そうそう、その時、切った指に包帯を巻かないと、私、いまだに演奏できないんだ(苦笑)」
●デビュー・アルバムの出来には満足している?
「もちろん、とても気に入っているわ!」
●今年、ゾーズ・ダーリンズはSXSWやボナルーのような大きなフェスティバルに出演して、多くのプレスから絶賛されましたね。
「私達、SXSWでもボナルーでもハジけたもの! 大歓迎されたことは、とてもうれしいわ」
●最後の質問です。ゾーズ・ダーリンズの目標は?
「世界中に笑いと素晴らしい音楽を届けること。私達に興味を持ってくれてありがとう。いつか日本に行けたらいいな。今回、インタビューしてもらえて、そんな気分が少しだけだけど、味わえたわ。ありがとう!」
(インタビュー◎山口智男)
プロデューサーの家を血の海にしちゃった!
一体、いつの時代の人達なの?!
彼女達が演奏している音楽はもちろん、ファッションも含め、そんなことを思わせるずっこけたセンスが何だかとっても頼もしい。
テネシー州マーフリーズボロの女の子3人組(+男性ドラマー)、ゾーズ・ダーリンズ。
グループ名を冠したデビュー・アルバムのリリースや、それに先駆けたSXSWやボナルー出演をきっかけに多くのメディアに取り上げられ、何やら一気に全国区の存在になりそうな気配さえ感じさせる。
大雑把に言えば、40〜50年代頃のポピュラー・ミュージックが持っていた雰囲気を巧みに再現したオリジナル・ナンバーとカーター・ファミリー他のカヴァーをジャカジャカジャカと演奏した、その懐かしさとガレージ・パンクという言葉に言い換えることもできる今っぽさ、それに姦しさ――それらが老若男女、幅広い人達に大歓迎されたにちがいない。
もちろん、今のままでも十二分に魅力的。しかし、この南部のじゃじゃ馬達。磨けば、その魅力はもっともっと輝きはじめるにちがいない。
ウワサのかわいコちゃん達にインタビューを申込んだところ、ツアー中にもかかわらず、グループを代表して、ニッキ・ダーリンが質問に答えてくれた。
●まず、自己紹介をお願いします!
「ゾーズ・ダーリンズはベース&ギターのケリー・ダーリンとギターのジェシー・ダーリンとバリトン・ウクレレの私、ニッキ・ダーリン、そしてドラムのシェリフ・リンの4人よ」
●ゾーズ・ダーリンズはいつ頃、どんなふうに活動を始めたんですか?
「3年前、テネシー州マーフリーズボロのサザン・ガールズ・ロックンロール・キャンプ(※)で知り合ったのよ。最初は、ただ一緒に演奏したり、それぞれに知っている曲を教えあったりしていただけだったんだけど、それが自然に発展して、オリジナル曲を作ったり、人前で演奏したりするようになったのよ。始めた頃は私達3人だけの女の子バンドだったんだけど、1年前にリンが加わって、精力的にツアーするようになったわ」
(※ケリーが始めた毎年恒例の夏合宿。音楽を演奏することを通して、女性の自尊心を養うことを目的としている。10歳〜17歳の女の子が参加できる。ケリーはそこでギターを教えているそうだ。)
●好きなバンド/ミュージシャンと言うと?
「難しい質問ね(笑)。だって、大好きなバンドもミュージシャンもいっぱいいるもの。それに私達が音楽を作るうえでインスピレーションを受けている人達のリストだって、いくらでも作れるわよ。ただ、私達が本当に影響を受けているという意味では、思うにカーター・ファミリー、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ジョー・ミーク、ワンダ・ジャクソン、ニック・ロウ、ロビン・ヒッチコック、それにラモーンズね」
●その中で最も影響を受けたのは?
「カーター・ファミリー!」
●カントリー/フォーク、ブルース、オールドタイム・ジャズ、ロックンロール、そしてパンクといった多彩な音楽の要素を持っているゾーズ・ダーリンズの音楽を、まだ一度も聴いたことがない人に紹介するとしたら、どんなふうに説明しますか?
「楽しい音楽!」
●音楽はもちろんなんですけど、みなさんのファッションもとてもユニークですね。
「私達の服のほとんどは古着屋で買ったか、友達がくれたものなのよ。中には街の人達が要らなくなった物を捨てる集積所で見つけた掘り出し物もあるわよ」
●じゃあ、好きなブランドなんかは…。
「ブランドなんて興味ないわよ。だって、私達にはブランド物を買う余裕なんてないもの」
●ところで、デビュー・アルバムはニューヨークでレコーディングしましたよね。なぜ、地元から離れたニューヨークを選んだんですか?
「場所はどこでもよかったのよ。私達がプロデュースをお願いしたいと考えていた人(ヴァンパイア・ウィークエンドなどを手がけたジェフ・カーティン)がニューヨークにいたのよ。それにナッシュヴィルは私達をカントリー・バンドだと決めつけていたしね。自分達が求めているサウンドがあっても、ナッシュヴィルでは自分達が望んでいるようにはできないのよ」
●ニューヨークでの生活はいかがでしたか?
「私達全員にとって素晴らしい経験だった」
●何かおもしろいエピソードってあります?
「そうね、ニューヨークに着いた最初の日、レコーディングも何もまだ全然始めていなかったのに、私達全員、ウィスキーを飲みすぎちゃったのよね(苦笑)。酔っ払ったら、気持ちが大きくなって、私、肉切り包丁の柄でビールの栓を抜きはじめて、しまいに左の人差し指を切って、プロデューサーの家を血の海にしちゃった! その指はいまだに感覚がないのよね。だけど、ジェシーなんてそこら中の床にもどしたのよ!! それで、その夜はお開きよ。そうそう、その時、切った指に包帯を巻かないと、私、いまだに演奏できないんだ(苦笑)」
●デビュー・アルバムの出来には満足している?
「もちろん、とても気に入っているわ!」
●今年、ゾーズ・ダーリンズはSXSWやボナルーのような大きなフェスティバルに出演して、多くのプレスから絶賛されましたね。
「私達、SXSWでもボナルーでもハジけたもの! 大歓迎されたことは、とてもうれしいわ」
●最後の質問です。ゾーズ・ダーリンズの目標は?
「世界中に笑いと素晴らしい音楽を届けること。私達に興味を持ってくれてありがとう。いつか日本に行けたらいいな。今回、インタビューしてもらえて、そんな気分が少しだけだけど、味わえたわ。ありがとう!」
(インタビュー◎山口智男)
『Those Darlins』
(Oh Wow Dang)