LAST HURRAH

        祝・初来日!! ライアン・アダムス特集

        column ★ ライアン・アダムス事件簿
        「才能と表裏一体の問題児体質」


別に、いまに始まったことじゃない。ウィスキータウン時代から、ライアンは“問題児”だった。

確か、現在ジェシー・サイクス&ザ・スウィートヒアーアフターで活躍している初代ギタリストのフィル・ワンドシャーはライアンと殴り合いの末、バンドを辞めたんじゃなかったか? もっとも、これはライアンが起こした事件とは一概には言えないけれど、そう言えば、ツアーの真っ最中にケイトリン以外のメンバー全員をクビにして、残りのツアーはケイトリンと2人で回ったなんてこともあったっけ。

後先考えずに、その瞬間瞬間の思いつき、いや、閃きで即行動がモットーの(?)ライアンは、もちろんソロ転向後もいろいろやらかしている。いや、ウィスキータウン時代よりも注目されるようになって、事件が明るみに出始めたと言うべきか。多分知られていないだけで、ウィスキータウン時代には、もっといろいろ事件を起こしているはずだ。そのへんはフィルかケイトリン、あるいはスキレット・ギルモアあたりに根掘り葉掘り聞いてみれば、いろいろ出てきそうだけれど。

それはさておき、ソロ転向後と言えば、02年10月、ナッシュヴィルのコンサート中、「ブライアン・アダムス!」と野次って「Summer Of 69」をリクエストした客を追い出した事件が有名だろう。

「ブライアン・アダムス!」と野次るセンスの悪さには目まいを感じずにはいられないけれど、それを無視できず、演奏を中断してまで(しかも客電までつけて)その客を探し出したライアンも大人げないと言うか何と言うか。あ、ライアンに「大人げない」って言葉は反則か? しかし、自分の財布からチケット代30ドルを返したって言うんだから、よっぽど腹に据えかねたんだろう。


(ケイトリンと2人きりでツアーしたことも)
その他にもイギリスでラジオ番組に出演したときには番組のハイライトであるライヴ・パフォーマンスを本番直前になって拒否したり、辛口のライヴ・レビューを書いたシカゴ在住のジャーナリストの自宅の留守電に「じじいはさっさと引退しやがれ!」と脅迫めいたメッセージを残したりもしている(なんで電話番号知ってるの?)。

因みにラジオ番組の一件では、結局1曲だけアコースティックで歌うことには応じたらしい。しかし、その後のインタビューでは支離滅裂な発言と音楽業界批判をダラダラと続けて、司会者を呆れさせたそうだ。

ついつい、ロック界の寵児に祭りあげられて、ちょっと驕ってんじゃない? と思ってしまいがちだけれど(もちろん、そういう面もあるんだろう)、数々の問題行動や、「もうソロ名義ではアルバムは作らない」とか「今年(05年)は、あと2枚アルバムを出す」とか、思いつきでいろいろ言っちゃう理由と言うか原因は、なんとなく予想はできる。

確証がないから、ここでははっきりとは言わないけれど、それがライアンの天才の閃きと表裏一体のものであることを考えると、彼の音楽を愛しつづけるかぎり、今後彼が起こすだろうさまざまなトラブルも大目に見てやらなきゃイカンのだろうな。


(山口智男)





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