☆1997年3月 SXSW ☆2000年3月 SXSW ★2000年9月 CMJ MUSIC MARATHON ☆2001年3月 SXSW ☆2003年7月 NY ☆2004年9月 AUSTIN CITY LIMITS FESTIVAL ☆その他 |
(c)LAST HURRAH
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【CMJ ライブレポ】
ニューヨークはマンハッタン。きれいに晴れた土曜日、正午を少し回った頃、イースト・ヴィレッジのアヴェニューAにあるクラブ、ブラウニーズの前に行列が出来ている。その列に加わり、ブラウニーズの開店を待っていると、それらしき男女が次々にやって来ては、その列の加わり、やがて行列は1ブロックを越える長さになってしまった。スタッフらしき男達がバーベキュー・セットを運びこんでいる。 通行人が不思議そうに尋ねる。「何かあるの?」 僕の後ろに並んでいた大学生風のグループが答えた。「ライアン・アダムスが演奏するんだ」 トップ・バッターのサリー・ティムズのステージが終わる頃には、すでにクラブの中は満員になっていた。次はいよいよライアン・アダムスだ。カメラマンがステージ前に集まり始めた。やはり、誰もが彼に期待しているんだろう。それにしてもギターを抱え、ステージに現れたアダムスの姿には驚かされた。ボサボサの長髪。やさぐれた顔つき。3月にオースティンで会った時の、あの爽やかな笑顔は一体どこへ!? アダムスはノートをパラパラとめくり、思いつくままにソロ・アルバム『ハートブレイカー』の曲を弾き語る。なんとなく決めているだけで特にセット・リストはないようだ。そして1曲終わると煙草に火をつけ、皮肉っぽい調子で軽口を叩く。饒舌ではあるけれど、楽しいと言うよりは何かに苛立っているように見える。そんなMCは、いい意味でトゲや毒を感じさせる。 アダムスの歌声も同様だ。あまり語られないけれど、彼が内包している皮肉っぽさ、冷笑、毒、苛立ちといった要素が、彼の存在を唯一無二のものにしている。そして、そういうパーソナリティーの持ち主だけが、伝統や既成のスタイルの呪縛を断ち切って、時代の寵児となり得る。ジョニー・ロットンしかり、アクセル・ローズしかり、カート・コバーンしかり。だからこそ、多くの人がアダムスに期待している。 因みに冗談半分で歌ったバックストリート・ボーイズの「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」では観客が大合唱(笑)。僕も一緒になって歌ったことは言うまでもない。 (文◎山口智男) LAST HURRAH第2号(2000年冬)より。 |